結論から先に言います。
- コストを抑えてカスタムフローを動かしたい個人開発者 → n8n(セルフホスト)
- 非エンジニアがすぐ使いたい、対応サービスの多さを優先 → Zapier
- コストと機能のバランスを取りたい中規模チーム → Make
この記事では3つのツールを「料金」「機能」「セルフホスト可否」で比較し、あなたの状況に合うツール選びの判断材料を提供します。
著者について: THINK YOU LAB では最初から n8n を選択し、自動化 WF を130本超セルフホスト環境で運用しています。Zapier や Make ではなく n8n を選んだ理由を、この記事の一次情報として書いています。
3ツールの概要と立ち位置
n8n — オープンソース・セルフホスト可能
n8n(エヌエイトエヌ)は2019年リリースのオープンソース自動化ツールです。最大の特徴は セルフホスト可能なことで、Docker 環境で動かせば実行回数に関係なく無料で使えます。
- ライセンス: Sustainable Use License(自社利用は無料)
- ホスティング: セルフホスト(Docker)または n8n Cloud
- 対応ノード数: 約400+(HTTP Request でほぼ全サービスに接続可)
- 強み: Code ノードで JavaScript を直接書ける
Zapier — 最多インテグレーション・非エンジニア向け
Zapier は2011年創業。自動化ツール中で最多のインテグレーション数と、最もシンプルなUIが強みです。
- ホスティング: クラウドのみ(セルフホスト不可)
- 対応アプリ数: 約6,000+
- 料金モデル: 実行ごとに「Task」を消費する従量課金
- 強み: 有名サービス間の単純なフローをコードなしで実現
Make(旧 Integromat)— ビジュアルフロー・中間コスト
Makeは2022年に Integromat から名称変更。ビジュアルなフロービルダーで、Zapier より柔軟かつ n8n より導入ハードルが低い「中間ポジション」です。
- ホスティング: クラウドのみ
- 対応サービス数: 約1,500+
- 料金モデル: 「オペレーション数」で課金
機能比較表
| 比較軸 | n8n | Zapier | Make | |---|---|---|---| | セルフホスト | 可(Docker) | 不可 | 不可 | | 対応アプリ数 | 約400+(HTTP Request で拡張可) | 約6,000+ | 約1,500+ | | カスタムコード | Code ノード(JavaScript) | Formatter のみ | 関数は限定的 | | エラーハンドリング | Error Trigger ノード | Filter 条件分岐 | エラーハンドラー | | UI の難易度 | 中(開発者向け) | 低(初心者向け) | 中 | | データ保持場所 | 自前サーバー(セルフホスト時) | Zapier クラウド | Make クラウド | | 無料で大量実行できるか | セルフホストなら無制限 | 100タスク/月まで | 1,000オペレーション/月まで |
料金の詳細比較
※ 料金は変動します。最新情報は各公式サイトを確認してください(2026年4月時点)。
| プラン | n8n セルフホスト | Zapier Free | Zapier Pro | Make Free | Make Pro | |---|---|---|---|---|---| | 月額費用 | 無料(サーバー代のみ) | 無料 | $20〜 | 無料 | $10〜 | | 実行数上限 | 無制限 | 100タスク/月 | タスク数制限あり | 1,000オペレーション/月 | オペレーション制限あり |
n8n セルフホストはなぜ無料か
n8n のコアは「Sustainable Use License」でオープンソース公開されており、自社での業務利用は無料です。VPS 代(月額 $5〜$10 程度)のみがコストになります。
ただし n8n 自体を SaaS として第三者に提供する場合は商用ライセンスが必要です。個人利用・自社業務・スタートアップの内部ツールは無料です。
Zapier の Task 消費モデルの落とし穴
Zapier は「Zap が1回トリガーされるたびに1 Task を消費」するモデルです。Multi-step Zap では各アクションで1 Task ずつ消費するため、複雑なフローほどコストが増えます。大量イベントを処理すると想定外のコストになるケースがあります。
Make のオペレーション制限
Make は1モジュールの実行が1オペレーションとしてカウントされます。ループ処理を使うとループ回数分オペレーションが消費されます。
Code ノードで JavaScript を書けることの利点(n8n)
n8n の Code ノードはワークフロー内で直接 JavaScript を書けます。
// データのフィルタリングと変換例
const items = $input.all();
return items
.filter(item => item.json.level === 'error')
.map(item => ({
json: {
message: `[ERROR] ${item.json.source}: ${item.json.message}`,
timestamp: new Date(item.json.timestamp).toLocaleString('ja-JP')
}
}));Zapier の Formatter では同等の処理は設定フォームで行うため自由度が低く、複雑な変換は実現困難な場合があります。
THINK YOU LAB が n8n を選んだ理由
セルフホストによるコスト削減
THINK YOU LAB では130本超のワークフローを n8n で運用しています。仮にこれを Zapier で動かすとすれば、実行回数に応じた Task 課金で相当なコストが発生します。n8n のセルフホストならサーバー代のみです。
HTTP Request ノードによる柔軟な API 連携
THINK YOU LAB では以下の API を n8n から直接叩いています:
- Supabase REST API: データの読み書き
- Claude API(Anthropic): テキストの要約・分類・生成
- Slack API: 通知の送信
- GitHub API: リポジトリ操作
これらは n8n のネイティブノードが未対応のものもありますが、HTTP Request ノードで事実上どのサービスとも連携できます。Zapier や Make の「対応アプリ数」の制限を受けません。
ユースケース別おすすめ
個人開発・スタートアップ → n8n(セルフホスト)
向いている人: Docker を使える、実行回数が多い、独自 API との連携が必要、データを外部に置きたくない。
注意点: 初期セットアップに Docker の知識が必要。n8n 自体のバージョンアップ管理も必要です。
非エンジニア・スピード重視 → Zapier
向いている人: 今すぐ使い始めたい、エンジニアがいないチーム、Gmail・Slack・Google Sheets の単純なフロー。
注意点: 使えば使うほどコストが増える。カスタマイズの自由度が低い。
中規模チーム・コスト最適化 → Make
向いている人: Zapier より柔軟なフローを組みたいが Docker は使いたくない、コストと機能のバランスを取りたい。
注意点: ループ処理が多いとオペレーション数が急増する。
FAQ
Q1. n8n のセルフホストは永遠に無料ですか? 自社利用のセルフホストは現時点では無料です。ただし競合製品の開発や SaaS 提供への利用は禁止されています。最新のライセンス条件は n8n の GitHub リポジトリを確認してください。
Q2. n8n から Zapier に乗り換えることはできますか? 直接のエクスポート/インポート機能はなく、手動での再構築が必要です。n8n は JSON 形式でワークフローをエクスポートできるため、n8n 同士の移行は簡単です。
Q3. Make の「旧 Integromat」と現在の Make は別物ですか? 実質同じサービスです。2022年に名称変更されました。
次のステップ:
- n8n を Docker でローカル起動する → n8n をローカル Docker 環境で起動する手順
- n8n と Claude AI を組み合わせる → n8n と Claude AI を組み合わせた自動化ガイド
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